青の南国の名

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陽が暮れて、どこか残る蒼白さもいよいよ暗闇に呑み込まれた頃、若い男の一啼き。これほど、夏を感じさせられるとは思いもよらなかった。わたしは室内の網戸越しに、幾分離れたどこかから一直線に飛び込んで来たそれを、ただ受け入れるように聴いた。若い男独特のその声は特に嫌みもなく、ただその場限りの刹那的享楽のようなものを感じさせられた。それが失われた夏の頃の何かを彷彿とさせたのかもしれない。外は穏やかで風の心地よい日だった。 不思議なものでその一啼き …

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賑やかな風、どんなに遅くなってもいい、待ち合わせ

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お久しぶりです。いつの間にかすっかり、街の樹々の新緑はしっかりとした緑を帯び、風の匂いもどこか賑やかさを感じ取れるようになって来ましたね。次の季節というものは必ず来るのものなのだと予感させてくれます。 鳥が、一鳴きと共に次はどの枝木に止まろうかと、そのタイミングを待つように(それは風なのか、匂いなのか、光か、はたまた他の生命の戯れに起因するのか)、僕は今ある友達を待っています。どんなに遅くなってもいい、そういったタイプの待ち合わせという …

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毎日の畑、暮らし、ぐーぐる

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この写真は、大分県の国東半島にある熊野磨崖仏。国東半島というのは僕の生まれ育った場所です。ここは神々の伝説が非常に多く、神仏習合発祥の場所とも言われています。半島の付け根に位置する“宇佐八幡宮”は全国4万社あまりあると言われる八幡宮の総本宮です。なんだかとても神秘めいた場所なのです。 上部写真のように大小様々ながら、気がつけばそこらに石仏が転がるように存在し、人々に愛でられ、あるいは草むらにひっそりと佇むものまで非常に多く見つけることが …

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さけたこごえたみちばたのはる

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今朝はぽろぽろと雪が降っていて、こういう優しい冬の景色は久しぶりだなあ、なんて思いながら歩いてお店に向かいました。その時聴いていたのはトクマルシューゴさんで、「はるのひざしさけたこごえたみちばたにつめいたいみずのこえ」何処に句読点があるのかもわからない独特なリズムで、意味などまるで意味をなさないように、ただただ僕はいずれ来る春を感じていたのでした。不思議なもので、人は冬を感じれば感じるほどに春というものを期待以上に身近に感じてしまうよう …

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センチメンタルな旅/12月8日(冬)の旅

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その日はとてもよい天気で、とても爽やかな黄金色の朝日を浴びながら三人は泣きながら帰った。なにやら都会の音はなく、ただ太陽の音だけが聴こえているようだった。 一日クラシックばかり聴いた。太陽の音を忘れたくなかったし、今後幾度と無く自然に耳にするであろう、かの名曲たちの中にその記憶を植え付けておきたかったから。 今、僕は“春の旅”に向かっています。とても私文章ですが、このことをきっとここに残しておきたかったのです。 その「ありがとう」にも、 …

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