ニュージングルベル 3rd ANNIVERSARY

街がシャンシャンと鳴り響き、細かなきらきらと赤と緑に彩られ、僕の心はどうしても“ノルウェイの森”に寄り添い、目黒のビルに差す冬の朝の鋭い陽光をセンチメンタルな気分で眺めながら、いつもの坂道を下る。つまり、わるくないということ、とても。とてもわるくない。ニュージングルベル。

皆さん、こんにちは。不動前のかむろ坂にある“koko Mänty (kissa)”という小さな美容室をはじめて、2013年12月24日(友引)三周年を迎えることができました。これは真に心の底から、お客様、街の方々、家族、愛する人、猫、樹々、風、あらゆる方面から愛をいただき、本当におかげさまで辿り着いたアニヴァーサリーなのです。僕は手を合わせる幸福を味わっています。両の手は合わせるととても温かい。有り難いです。

この3年で、削ぎ落ちたもの、こびりついたもの、得たもの、失ったもの、たくさんあると思います。それが生きるということなのでしょう。前がよく見えなくなってしまうこともありました。でも、それでも僕はすくすくと生きています。勝手に闊達です。人が生きるというのは、この星の永い時間の中で、ほんの僅かなきらめきです。僕はまるで永遠の時間を味わうかのような振る舞いをついとってしまいます。できれば、その儚さを感じながら精一杯生きていこうと思います。

自分から、親、先祖へと一本の直線で結んでみます。弥生時代のころまで遡ると、大まかに70、80人の線になるようです。つまり僕の顔の80分の1には弥生時代のそれをみることもできるのかもしれません。そのように、遥か昔のように感じていたその時代も、ついこの前のことなのかもしれません。一瞬で過ぎ行く人生だからこそ、人々はこのように笑い、悩み、生きていくのでしょう。素敵ですね。そう思うだけでもいい。世界はこんなにも美しいのだから。

“人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。その根源的なかなしみは、言い換えれば、人と人とが出会う限りない不思議さに通じている”

これからも、相変わらず皆様のお力に甘えてしまうとは思いますが、お店として人間として深くなれるよう精進して参ります。両の手を合わせる慶びを感じながら。

4年目のkoko Mänty (kissa)をどうぞこれからもよろしくお願い致します。

ニュージングルベル。

koko Mänty (kissa) ~森へ~    成重 松樹

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