ヤマハノボル

このごろのかむろ坂は賑やかでした。しかし、その賑やかさも、春の風雨がさらっていきます。アスファルトに張り付いた、そのあまりに白い痕跡はまるで雪景色のようにも見えて、季節を惜しむようにそれはそれで心地よくもあります。

みなさまお久しぶりです。お変わりありませんでしょうか。すっかり今日は冷えてしまいましたが、明日からまた次の季節に向け暖かく移ろっていくようです。かむろ坂の桜もだいぶ緑を蓄え始めましたよ。今からギラギラした緑のトンネルが楽しみです。

『坂』ということで、良く思い出すことがあります。それは、子供の頃通っていた習字の先生に訊かれたことです。

「日本では、上り坂と、下り坂どちらが多いと思うかい。」

僕は騙されまいとしばらく考えて、やはりとでも言いますか、

「上り坂じゃないかな。」と、答えたのでした。

残念ながら不正解でした。「上り坂は、上ってしまえば下ることができるし、下り坂も同様上ることがきる。日本でも、世界でもどちらも同じ数なんだよ。」

今考えてみると、あの質問をされたとき富士山のことを考えていました。僕にはまだ富士山を“下りに行く”という発想を待ててないな、なんて思います。

しかし、人はいつも上っていこうという気持ちがあるからこそ、山は“登る”と考えるのかもしれません。それはそれで素敵ですよね。坂のことを考えると僕は、富士山と習字を思い出さずにはいれません。

みなさんはどちらが多いと思いましたか。

koko Mänty (kissa)             NARISHIGE Matsuki

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